我が家に猫が来たワケ(兄サン編)
マルとテンの兄サン。高校生だ。部活はバスケットボール。
うちは動物はあまり飼ったことがない。
川で釣ってきた魚を水槽で飼ったり、カブトムシを捕まえてきて飼ったりしたことはある。
でも哺乳類は飼ったことがない。
友達の家に犬がいて、うちでも飼いたいって言ったこともあるけど
「世話はできるの?」
「泊りがけの旅行とか行けなくなるよ」
とか言われて諦めた。
母サンが動物を飼うのは好きじゃないみたいだった。
去年のある日、バスケットの試合から戻ったら、父サンと母サンが猫を飼うかも、と急に言い出した。
魔法使いの猫が母サンに魔法をかけたから、魔法がとけないうちに猫を飼うんだと、父サンは全く理解できない説明を僕にした。
もちろん猫を飼うのは賛成だったけど、何かの気まぐれだろうと、あまり本気にしてなかった。
しかし、猫は本当に僕の家にやってきた。
今はすっかり我が家の一員だ。
しかし、諸君、考えてみたまえ。
魔法使いの猫のお蔭かもしれないが、魔法使いの猫に会えたのは、僕のバスケットの試合があったからだ。
それに、あの日の試合はトーナメント戦だったから、1試合目に負けていたら2試合目は無くて、父サンと母サンはすぐに帰っていたはず。つまり、魔法使いにも会えなかったってこと。
すなわち、我が家に猫がやってきたのは、僕の高校のバスケ部の勝利があってのことだ。
「マル、うちに来てくれてありがとうね」
なんて母サンは言っているけど、感謝の方向が間違ってないかい?
うちのバスケ部に感謝して欲しい。
だから母サン。
「こんなひどい数学の成績でどうするの。バスケなんて辞めちゃいなさい」って言わないでおくれ!